「糖質制限を始めたいけれど、何をどれだけ減らせばいいの?」「ごはんは完全に抜くべき?」と迷っていませんか。
結論から書きます。最初にやることは、主食の量を測って、1食の糖質を20〜40gに収めることです。ごはんをゼロにする必要はありません。茶碗に軽く1杯(約100g)でも、糖質は35.6gです。この範囲なら、多くの人が無理なく続けられます。
この記事では、ゆるやかな糖質制限(ロカボ)の基準、血糖値が上がる仕組み、始め方と続け方、外食やお酒の選び方を、食品成分表の数字を使って順番に説明します。
この記事のポイント
- 目安は1食20〜40g、1日70〜130g。糖質ゼロはすすめません
- まず主食の量を測る。ごはん100gで糖質35.6g、150gで53.4g
- 外食は「主食を減らしておかずを足す」、お酒は蒸留酒か辛口のワインが選びやすい
ロカボの基準は1食20〜40g、1日70〜130g
この記事で前提にしているのは、糖質を「ゼロにする」方法ではなく「適量にする」方法です。
- 1食の糖質:20〜40g
- 間食(おやつ):10g程度まで
- 1日の合計:70〜130g
一般的な食事では、ごはんを茶碗1杯(150g)食べるだけで糖質が50gを超えます。3食とも主食をしっかり食べると、主食だけで150gを超えることも珍しくありません。ロカボは、ここを少し減らすところから始めます。
なぜ糖質ゼロをすすめないのか
理由は3つあります。
- 続かない:主食も果物も一切とらない食事は、外食や家族との食事で無理が出ます。やめた反動で食べすぎる人もいます。
- 食事が偏りやすい:主食を抜いた分を肉と油だけで埋めると、食物繊維が不足しがちです。
- 体への負担が読みにくい:極端な制限は、人によって体調を崩すきっかけになります。
ゆるやかな制限なら、主食を「減らす」だけで済むので、ふだんの食卓から大きく離れずに続けられます。
なお、糖尿病の治療中の人(特に飲み薬やインスリンを使っている人)、腎臓の病気がある人、妊娠中・授乳中の人、成長期の子どもは、食事の糖質を減らす前に必ず医師に相談してください。薬との組み合わせで低血糖が起きることがあります。
血糖値が上がる仕組みを簡単に
なぜ糖質の量を気にするのか。仕組みを知っておくと、日々の判断がぶれにくくなります。
- ごはんやパン、麺、砂糖などの糖質は、消化されてブドウ糖になります。
- ブドウ糖が小腸から吸収され、血液中に入ります。これが血糖値の上昇です。
- すい臓からインスリンというホルモンが出て、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込ませます。
- 使いきれない分は、最終的に脂肪として蓄えられます。
食後の血糖値の上がり方に最も大きく影響するのは、食べた糖質の量です。たんぱく質や脂質は、糖質に比べると食後の血糖値を直接上げにくい栄養素です。
つまり「1食で食べる糖質の量をそろえる」ことが、食後の血糖値の急な上昇を抑えるいちばん分かりやすい方法です。食べる順番(野菜やおかずを先に、主食を後に)も役立ちますが、まずは量を決めることが先です。
始め方:まず主食の量を測る
糖質の多くは主食から来ます。最初の1週間は、キッチンスケールで主食の量を測ってみてください。目で見た量と実際の重さは、思った以上にずれています。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の値から、主な主食の糖質量を計算しました(糖質=炭水化物−食物繊維総量)。
| 食品 | 量の目安 | 糖質量 |
|---|---|---|
| ごはん(精白米) | 100g(茶碗に軽く1杯) | 35.6g |
| ごはん(精白米) | 150g(茶碗に普通1杯) | 53.4g |
| ごはん(精白米) | 75g(茶碗に半分弱) | 26.7g |
| 食パン | 60g(6枚切り1枚) | 25.3g |
| 食パン | 45g(8枚切り1枚) | 19.0g |
| うどん(ゆで) | 200g | 40.6g |
| スパゲッティ(ゆで) | 200g | 58.4g |
表を見ると、1食40gまでに収めるには、ごはんなら100g前後が上限の目安になります。おかずの調味料(砂糖、みりん、ケチャップなど)やいも類、かぼちゃにも糖質があるので、主食はやや控えめにしておくと安心です。
麺類は1人前で40gを超えやすい料理です。うどんなら量を減らして具を増やす、パスタは週1回までにするなど、頻度で調整する方法もあります。
1日の組み立て例
- 朝:食パン8枚切り1枚(19.0g)、卵、サラダ、無糖のコーヒー
- 昼:ごはん100g(35.6g)、焼き魚や肉のおかず、みそ汁
- 夜:ごはん75g(26.7g)、豆腐料理、野菜炒め、きのこのスープ
主食だけで合計81.3gです。おかずや調味料の分を足しても、1日100g前後に収まる計算です。慣れてきたら、体重や体調を見ながら調整してください。
減らした分は、たんぱく質と野菜で埋める
主食を減らしただけでは、食事の量が足りずにお腹がすきます。その分を、肉・魚・卵・大豆製品と、野菜・きのこ・海藻で埋めましょう。量が満たされると、間食に手が伸びにくくなります。
続けるコツと、よくある誤解
始めるより難しいのが続けることです。よく聞く誤解とあわせて整理します。
誤解1:糖質さえ減らせば、ほかは食べ放題
糖質を控えても、エネルギー(カロリー)をとりすぎれば体重は減りにくくなります。揚げ物や脂身の多い肉を毎食大量に食べるのは避けましょう。目安は「主食を減らした分だけ、おかずを少し増やす」程度です。
誤解2:最初の1週間で減った体重は、すべて脂肪
糖質を減らすと、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲン(糖の貯蔵形)が減ります。グリコーゲンは水と一緒に蓄えられているため、最初の数日の体重減は水分の割合が大きいと考えられています。2週目以降に減り方がゆるやかになっても、それは自然な経過です。焦って制限を強める必要はありません。
誤解3:果物や野菜ジュースは健康的だから気にしなくていい
果物にも糖質があります。食べるなら、間食の10g程度を目安に少量にしましょう。ジュースは果物より手軽に量を飲めてしまうので、ふだんの飲み物は水やお茶、無糖のコーヒーにするのがおすすめです。
続けるための3つのコツ
- 完璧を目指さない:1食オーバーしたら、次の食事で主食を少し減らせば十分です。
- 記録は最初の2週間だけ細かく:主食の量の感覚がつかめたら、毎回の計算はやめても構いません。
- 常備食材を決める:卵、豆腐、納豆、ツナやサバの缶詰、冷凍ブロッコリーなどがあると、迷わずに1食作れます。
外食・飲み会の乗り切り方
外食は、主食の量が多めなのが一番の課題です。次の順に考えると選びやすくなります。
- 定食:ごはんを「少なめ」で頼む。おかずが2品以上ある定食を選ぶ。
- 麺類の店:麺を少なめにするか、サラダや卵などのトッピングを足す。替え玉や大盛りは避ける。
- 丼もの:ごはんの量が多いので、ほかに選択肢があればそちらを選ぶ。頼むならごはん少なめに。
- 居酒屋:刺身、焼き鳥(塩)、冷ややっこ、枝豆、サラダなどは糖質が少なめ。締めのごはんや麺は、量を決めて頼む。
甘いたれ、とろみのあるあん、ポテトサラダ、コロッケなどは、見た目より糖質が多い料理です。迷ったら「塩」「焼き」「蒸し」の料理を選ぶと失敗が少なくなります。
お酒の糖質量の目安
お酒は種類によって糖質量が大きく違います。成分表の値から計算しました(1mLを1gとして概算)。
| お酒 | 量の目安 | 糖質量 |
|---|---|---|
| ビール(淡色) | 350mL(1缶) | 10.9g |
| 清酒(普通酒) | 180mL(1合) | 8.8g |
| ぶどう酒(赤) | 120mL(グラス1杯) | 1.8g |
| ぶどう酒(白) | 120mL(グラス1杯) | 2.4g |
| 梅酒 | 60mL | 12.4g |
| 焼酎・ウイスキー | 1杯 | 0g |
焼酎やウイスキーは糖質を含みませんが、割り材に注意してください。ジュースや甘いシロップで割ると、糖質が一気に増えます。水、炭酸水、お湯、無糖のお茶で割るのが基本です。
ただし、糖質が少ないお酒でも、アルコール自体にエネルギーがあり、食欲も増しやすくなります。量は控えめにしましょう。糖尿病の薬を使っている人は、飲酒で低血糖が起きることがあるため、お酒との付き合い方を医師に確認してください。
よくある質問
玄米や全粒粉パンなら、量を気にせず食べていい?
量は気にする必要があります。玄米や全粒粉は食物繊維が多い分、白米や白いパンより糖質がやや少なくなりますが、大きな差ではありません。白米と同じように、1食の糖質20〜40gに収まる量を目安にしてください。
糖質制限中に甘いものが食べたくなったら?
間食10g程度を目安に、量を決めて食べましょう。チーズ、ナッツ、ゆで卵、無糖ヨーグルトなどは糖質が少なめで、満足感も得やすい食品です。我慢しすぎて反動で食べすぎるより、少量を楽しむほうが続きます。
どのくらいで効果が出ますか?
体重の変化は人によって違い、「何週間で何kg」とは言えません。最初の数日は水分による変化が大きいので、少なくとも1か月ほど続けてから、体重や体調の変化を見てください。健康診断の数値が気になる人や持病がある人は、主治医と相談しながら進めると安心です。
まとめ
- ロカボの目安は1食20〜40g、間食10g程度、1日70〜130g。糖質ゼロにする必要はありません。
- 食後の血糖値に最も影響するのは糖質の量。まずは主食をスケールで測り、ごはんなら1食100g前後を上限の目安にします。
- 減らした主食の分は、たんぱく質と野菜で埋める。「食べ放題」ではない点に注意します。
- 外食は主食少なめ、おかず多め。お酒は焼酎やウイスキーを無糖の割り材で、ワインなら辛口を少量に。
- 糖尿病の治療中の人、腎臓の病気がある人、妊娠中・授乳中の人、成長期の子どもは、始める前に医師に相談してください。
今日できることは一つです。次の食事で、ごはんの量を測ってみてください。数字が分かれば、あとは少しずつ調整するだけです。
※糖質量は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」や各社の公表値をもとにした目安です。食材の種類や調理法で変わります。持病のある方、治療中の方、妊娠中の方は、食事制限を始める前に医師に相談してください。
